N『内発的動機づけと自律的動機づけ:教育心理学の神話を問い直す』(速水敏彦)


『内発的動機づけと自律的動機づけ: 教育心理学の神話を問い直す』(速水敏彦)

著者: #速水敏彦
出版社: #金子書房
発行:2019
分類:37教育

教育現場で神格化されている、と著者は考えている、内発的動機づけに対して一石を投じようとする一冊。内発的動機づけに初めてスポットを当てた自己決定理論に対して、そこで捉えられていない部分があるのでは、と批判的にみて幾つかの新たなアンケート調査を実施し、その結果から教育現場で実践可能な形で提言がなされている。
途中、専門的で新たな概念もたくさん出てきて、実証結果も統計を駆使してさまざまに語られているところは、正直その正当性はわからない。ぼく自身、自己決定理論を提唱した研究者の1人のデシの著作H『人を伸ばす力』(エドワード・L・デシ、リチャード・フラスト)がとても好きで、その自己決定理論を批判的に考察する本書に対して批判的な目を向けていたけど、本書の著者があとがきでこの著書に対して批判をもらうことを望んでいる姿勢からして、教育心理学の発展を願っているんだなと感じる。本書を読む途中からその真摯な姿勢を感じてて、必要以上に批判的にみてしまってた感があったけど、素直に本書の主張や論を受け入れることができるようになっていった。
まだまだ実証や研究の余地のある分野だと感じたので、自分も何かしら研究できたらな、と真剣に考えている。