📚リサーチ・クエスチョンとは何か_

20260218

はじめに

  • リサーチ・クエスチョンは、論文を書く中で変わっていくもの。
    • 試行錯誤の繰り返しによって。

序章 論文のペテン(詐術)から学ぶリサーチ・クエスチョンの育て方

  • 論文の型と、実際の調査プロセスにはギャップがある。
    • 論文ではじめに書かれる問いは、調査では最後に決まったり。
    • 紆余曲折あったこと(調査経緯)を、リニア(調査結果)に落とし込むがために。
    • 実は、この落とし込みを論文に活かしていくことが重要ポイントに。
  • リサーチ・クエスチョンの本書の定義。
    • p29.社会科学系の実証研究のさまざまな段階で設定される研究上の問いを疑問文形式の簡潔な文章で表現したもの

第1章 定義するーリサーチ・クエスチョンとは何か?

  • リサーチクエスチョンの定義
    • p038.社会調査のさまざまな段階で設定される研究上の課題や問いを疑問文形式の簡潔な文章で表現したもの

      • ①実証研究のための問い
      • ②疑問文形式
      • ③簡潔な表現
      • ④研究のさまざまな段階で設定される問い
  • リサーチ・クエスチョンを問いの形で定めることで、実証研究は問いに対する答えを探す探求活動である、と明確に示せる。
  • リサーチ・クエスチョンの役割
    • 調査研究者にとって、調査活動の基本的な方向性を示す羅針盤
    • 論文の読者にとって、内容を大掴みに把握する上での見取り図
  • 「実証研究のさまざまな段階で設定される研究上の問い」は、進める上で設定されるため、論文には登場しない。
    • 論文に載るのは、完成品のリサーチ・クエスチョン。
    • よって、調査を経る中で問いは育っていくもの。

第2章 問いの内容を見きわめるー何について問うのか?

  • 5W1Hは、メインクエスチョンではなく、それをサブクエスチョンに落とし込んでいく際に重要。
  • リサーチ・クエスチョンは、What・事実関係に関わる問いかWhy・因果関係に関わる問いか、の類型の組み合わせが大事。
    • Whyは曖昧な問いになりがち。
      • who、when、whereなどのより的を絞った問いに言い換えていくべき。
    • Whatの問いの検証をおろそかにしたWhyは、「単なるモデルづくり」に終わりかねない。
  • WhatとWhyの問いを何度も繰り返すことで最も重要で中核的な問いの全体像とそれに対する答えの輪郭が浮かび上がってくる。
    • Whyだけではだめ。

第3章 問いの目的について確認するーそもそも何のために問うのか?

  • リサーチとは
    • ①調査研究の目的は新しい知識や情報を得ることにある
    • ②その目的を達成するための手段はシステマティックな探求でなければならない
    • ②がないと、アンケート調査は無意味で無価値な情報に。
  • 三つのリサーチの問題関心
    • 個人的関心
    • 社会の関心
    • 学会の関心
  • 問題関心は、上記三つのベン図によって、重複を伴った領域が存在。
    • 先行研究を踏まえた上で、リサーチ・クエスチョンを設定すること。
  • WhatとWhy+How to
    • 社会の関心の場合、How toが重要。
      • 改善策の提案。
    • WhatとWhyで現状の精緻な把握と原因の根本を追求し、それに対するHow to、つまり改善策を示すことが社会の関心領域の問題解決には有用。
    • さらには、再度WhatとWhyに。でそこからHow toに、、、と行き来することが大事。
      • (What⇄Why)⇄How to
  • 書く⇄リサーチ・クエスチョンを見直す。

第4章 「ペテン」のからくりを解き明かすーなぜ、実際の調査と論文のあいだにはギャップがあるのか?

  • 書く⇄リサーチ・クエスチョンを見直すのが舞台裏、論文が本公演。
    • 整った論文の舞台裏では、混乱と混沌が含まれることも。
  • 論文が担う二つの役割
    • 結果報告
      • 新たに得られたことの報告。
    • 経緯報告
      • 得られた結果の説明責任を果たす役割。
  • ジグザグな経緯をリニアの型に当てはめる必要がある矛盾。
    • 序論→方法→結果→考察は、一種のフィクション。
    • ジグザグの過程の全ては論文には載らず、載るのは上澄みの部分のみ。
    • 研究結果を効率的に伝えるための、あえてつかれた「ウソ」。
    • ジグザグの過程で、仮説やリサーチ・クエスチョンの見直しが起こり、それが斬新な結果につながることも。
  • リサーチ・クエスチョンは、調査におけるほぼすべての段階で修正を加えられたら新たに設定されたりする可能性がある。
  • リサーチ・クエスチョンには、そのカバーする範囲ないし「問いのレベル」という点で実にさまざまなものが存在する。
  • 包括的な問いは、具体的である問いにブレークダウンしていくことになる。
    • 包括的では対象が多く、全てを検証することは事実上不可能。
      • 対象を絞り、具体的に。これが論文のリサーチ・クエスチョンに。
    • 論文のリサーチ・クエスチョンは、読み手にとっての見取り図的、包括的な問いは、研究者にとっての羅針盤的。

第5章 問いを絞り込むーどうすれば、より明確な答えが求められるようになるか?

  • 筋の良い問いの三条件
      1. 意義ー調べてみるだけの学術的価値や意義がある
      1. 実証可能性ー実証データにもとづいて一定の答えを出すことができる
      1. 実行可能性ー調査資源などの制約の範囲内で答えを求めることができる
  • 事実に関わる問いが、本書で言うリサーチ・クエスチョン。
    • 事実を検証して答えの出し得る問い。
    • 規範に関わる問い(あるべき姿を問うもの)は、対象ではない。
  • 実証的な問いの検証に、あるべき姿、つまり自分の中の規範性や偏見が入ることに注意。
  • How toのリサーチ・クエスチョンは、実現したい状況が想定される点で、価値判断が必ず入る。
    • 実証的とは対照的。
    • ただ、あるがままにとらえた上で問いを立てる。
  • 包括的な問いを個別具体的な問いに落とし込むことで、実証を可能にする。
    • 現実的な制約条件や本質的な制約を踏まえて。
    • 包括的な問いで方向性を設定し、個別具体的な問いで焦点を絞って実証研究する。
    • 対象を絞り込む、視点を絞り込むことで、何に焦点をあてるのか、何を見ないかを選択していく。

第6章 枠を超えていくーもう一歩先へ進んでいくためには?

  • 卒業研究では、多くの事柄について広く浅くまとめるよりも、焦点を絞った調査対象で得られたデータや資料をもとに、自信を持って語ることができる範囲の内容について書き留めていくことを目指すべき。
    • が、対象を絞ることで、一般論と離れる、包括的なリサーチ・クエスチョンとの関連が希薄になることも。
    • なので、焦点を絞りつつも、最終的にはそこからわかる一般論につなげる流れをとっておく。
  • リサーチ・クエスチョンに対し、対象や視点を拡張したサブクエスチョンがある。
    • 絞り込み型に対し、拡張型のサブクエスチョン。
    • リサーチ・クエスチョン自体が再構築されることも。

探究学習について参考にしたいと思い購入。ざっくりとした包括的な問い、漠然とした抽象的な問いのままでは、実証調査する対象が定まらない。ので、対象をしぼって問いを焦点化するという部分は、探究学習において問いを立てる際のかなり有効な指針になる、と思った。また、WhyとWhatを行き来して、現状の把握と原因の追求を繰り返し、その上でHow to、どのような解決があるかを考察するという組み立ても特に参考になった。
全体を通してとてもわかりやすく書かれているので、著者の述べることを理解しながら読み進めれたし、おもしろく読めた。